香川県の相続税調査の実態とは?国税庁の最新データから分かる税務調査のポイントを相続税専門の税理士が解説

「相続税の申告をしたら、税務調査に来るのだろうか?」
「税務署は、どのような財産を調べているのだろうか?」
「預貯金や不動産がある場合、相続税の申告漏れを指摘されることはあるのだろうか?」
相続税の申告を考えている方や、すでに申告を済ませた方の中には、このような不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
相続税は、所得税や住民税と比べて申告する機会が少ない税金です。そのため、税務調査がどのように行われているのか、具体的なイメージを持ちにくいかもしれません。
今回は、国税庁の公表資料を基に、香川県の方が知っておきたい相続税の税務調査について、実際の調査状況や申告漏れが生じやすいポイントを分かりやすく解説します。
目次
1.相続税の税務調査はどのくらい行われている?
相続税の税務調査には、税務署の職員などが実際に自宅を訪問して調べる「実地調査」のほか、電話や文書などによって申告内容の確認を求める方法があります。
まず、実地調査の状況を見てみましょう。
高松国税局が公表した「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によると、四国4県を管轄する高松国税局全体の実地調査件数は、令和6事務年度に300件でした。
前年度の343件と比べると、調査件数は減少しています。
一方、実地調査によって申告漏れなどが指摘された件数は256件でした。
実地調査300件のうち、申告漏れなどが指摘された割合は約85.3%です。
つまり、実地調査が行われた案件では、約10件中8~9件で何らかの申告漏れなどが見つかったことになります。
ただし、この数字を「相続税を申告した人の85.3%が税務調査を受ける」という意味に捉えてはいけません。
税務署は、申告内容や保有する資料などから、申告漏れの可能性があると考えられる案件を選んで調査しています。そのため、調査を受けた案件だけを見れば、申告漏れなどが見つかる割合は高くなります。
また、この統計は香川県だけの数字ではなく、四国4県を管轄する高松国税局全体の実績です。香川県単独の調査件数とは異なる点にも注意が必要です。
【出典:高松国税局「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」】
2.相続税の税務調査で、いくら追徴課税されている?
税務調査で申告漏れが見つかった場合、本来納めるべき相続税との差額などを追加で納めることになります。
これを「追徴課税」といいます。
高松国税局の令和6事務年度の実績では、実地調査による追徴税額の合計は28億5,600万円でした。
前年度の67億4,300万円と比べると、合計額は減少しています。
また、実地調査1件当たりの追徴税額は約952万円でした。
これは、実地調査を受けた案件について、追加で課される税額の平均が約952万円だったということです。
もちろん、すべての相続税の税務調査で約952万円の税金が追加されるわけではありません。申告内容や財産の規模、申告漏れの有無などによって、結果は大きく異なります。
しかし、この数字からは、相続税の申告漏れがあった場合、追加の税負担が大きくなる可能性があることが分かります。
さらに、申告漏れの内容によっては、過少申告加算税や重加算税、延滞税などが発生することもあります。
相続税の税務調査への対策として重要なのは、調査を過度に恐れることではなく、最初の申告段階で財産を正確に把握し、適切に評価することです。
3.税務署は、どのような財産を調べている?
相続税の申告漏れというと、不動産の評価間違いを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、相続税の申告では、預貯金や有価証券などの金融資産についても注意が必要です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
① 家族名義の預貯金
亡くなった方が、配偶者や子ども、孫などの名義で預金口座を作り、実際には自分のお金を管理していたケースです。
預金通帳の名義が家族になっていても、資金の出どころや管理状況などから、実質的に亡くなった方の財産と判断されることがあります。
いわゆる「名義預金」の問題です。
家族名義だから相続税の対象にならない、と単純に考えることはできません。
税務署が税務調査において重加算税を賦課するケースの多くは名義預金です。
税務署は「亡くなった方の財産であることを認識しながら、名義が家族であるという状態を利用して申告から故意に除外した」として重加算税を賦課します。
当事務所に相談される方の多くはこの問題に直面しています。
② 生前に引き出した現金
亡くなる前に、預金口座からまとまった金額を引き出している場合も注意が必要です。
例えば、葬儀費用や入院費用などに充てるために現金を引き出した場合、その使途を説明できるようにしておくことが大切です。
引き出した現金が亡くなった時点で残っていれば、相続財産として計上する必要があります。
また、使途が不明な多額の出金がある場合には、そのお金がどこに移ったのかを確認する必要があります。
故意に申告から除外するつもりはなくても現金残高の申告漏れは多々あります。
税務署が預金履歴を確認すれば。おおよその現金残高を把握することは可能です。
まずは相続開始日現在で現金がいくらあったかを確認しておきましょう。
③ 株式や投資信託などの金融資産
上場株式、投資信託、国債などの金融資産も、相続税の申告では正確に把握しなければなりません。
証券会社の口座だけでなく、複数の金融機関に保有している財産がないか確認することが重要です。
有価証券の場合も預金と同じく名義財産が数多く存在します。
税務調査では購入資金の口座、配当金の受取口座の管理などから真の所有者を判断します。
名義が亡くなった方以外だからと言って申告から安易に除外することはやめましょう。
④ 土地や建物
香川県内に自宅や農地、賃貸物件などを所有している場合、不動産の評価も重要なポイントです。
土地の相続税評価額は、所在地や形状、利用状況などによって異なります。
特に、貸している土地や建物、複数の土地を所有している場合には、適切な評価方法を確認する必要があります。
不動産は預貯金のように残高が明確ではないため、評価方法によって相続税額が変わることがあります。
不動産の評価の特例に「小規模宅地等の特例」というものがあります。
亡くなった方の自宅の敷地、事業用建物の敷地、貸地などの評価が最大80%減額されるものです。
適用要件を満たせば大幅な減税になりますが、その反面適用誤りの場合は大幅な追徴課税になってしまいます。
必ず専門家に確認すべき箇所のひとつです。
4.税務署から電話や文書が届く「簡易な接触」とは?
相続税の税務調査は、必ずしも自宅への訪問という形で行われるわけではありません。
高松国税局の公表資料では、「簡易な接触」と呼ばれる方法についても実績が示されています。
簡易な接触とは、電話や文書での連絡、税務署への来署依頼による面接などを通じて、申告漏れや計算誤りなどの是正を求める方法です。
令和6事務年度における高松国税局全体の簡易な接触件数は476件でした。
そのうち、申告漏れなどが指摘された件数は137件です。
また、申告漏れなどに伴う追徴税額の合計は2億4,600万円でした。
このように、税務署は実地調査だけでなく、電話や文書などを利用して申告内容の確認を行っています。
税務署から連絡があった場合には、慌てずに内容を確認し、必要な資料を整理したうえで対応することが大切です。
なお、税務署からの連絡があったからといって、必ず重大な申告漏れがあるとは限りません。事実関係を確認し、適切に対応しましょう。
5.相続税の申告漏れを防ぐために大切なこと
相続税の税務調査を避けるために重要なのは、税務署に見つからないようにすることではありません。
財産を正確に把握し、法律に従って適切に申告することです。
そのためには、次の点を確認しておきましょう。
- 預貯金口座を複数の金融機関に持っていないか確認する
- 家族名義の預貯金について、資金の出どころや管理状況を確認する
- 亡くなる前の多額の預金引き出しについて、使途を整理する
- 株式や投資信託などの金融資産を漏れなく把握する
- 土地や建物について、適切な相続税評価を行う
- 生前贈与や生命保険金など、相続税の計算に関係する事項を確認する
- 相続税の特例を適用する場合は、適用要件を確認する
特に、相続税の申告では、財産を漏れなく把握することと、財産を適切に評価することの両方が重要です。
相続税がかかるかどうか分からない場合でも、財産の内容によっては申告の要否を慎重に判断する必要があります。
また、相続税には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、一定の要件を満たすことで税負担を軽減できる制度があります。
ただし、特例の適用には細かな要件があり、申告書の提出が必要となる場合もあります。制度を正しく理解したうえで手続きを進めることが大切です。
6.香川県で相続税の申告をお考えの方へ
相続税の申告では、財産の種類や相続人の状況によって、確認すべきポイントが異なります。
例えば、香川県内に土地や建物を所有している方、複数の金融機関に預貯金がある方、生前に家族への資金移動があった方などは、申告前に財産の内容を丁寧に確認することが大切です。
相続税の税務調査は、すべての申告に対して行われるものではありません。しかし、申告漏れなどが見つかった場合には、追加の税負担が生じる可能性があります。
だからこそ、相続税の申告では、単に税額を計算するだけでなく、財産の把握や評価、特例の適用などを含めて、正確に手続きを進めることが重要です。
香川県高松市で相続税の申告や税務調査について不安をお持ちの方は、元国税職員の税理士が運営する遠藤直樹税理士事務所へご相談ください。
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早い段階で財産の状況を整理し、適切な申告を行うことが、将来の不安を減らすことにつながります。
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執筆者紹介

税理士 遠藤 直樹
遠藤税理士事務所 代表
香川県高松市にて相続税・生前対策専門の税理士事務所を運営。元国税調査官として28年間培った経験を活かし、香川県内で相続税申告や生前の節税対策でお悩みの方を親身にサポートしています。





