【決定版】生前贈与で相続税を劇的に減らす!失敗しないための節税戦略と注意点

香川県高松市で相続税申告や生前の節税対策を専門に取り扱っている、元国税調査官の税理士遠藤直樹です。
「いつか来る相続のために、今のうちから対策をしておきたい」
そう考える多くの方にとって、最も身近で強力な節税手段が「生前贈与」です。しかし、近年の税制改正により、これまでの「当たり前」が通用しなくなっているのをご存知でしょうか。
本記事では、贈与を活用して賢く相続税を減らすための具体的な手法から、最新の改正ルール、そして税務署に否認されないための鉄則まで、徹底解説します。
目次
- 1 1. なぜ「生前贈与」が相続税対策になるのか?
- 2 2. 実践すべき4つの主要な贈与手法
- 3 3. 【重要】2024年税制改正による「持ち戻し期間」の延長
- 4 4. 税務署はここを見る!「名義預金」とみなされないための対策
- 5 5. 失敗しないための戦略:誰に、何を、いつ渡すか
- 6 6. まとめ:専門家への相談を惜しまない
- 7 【事例設定】
- 8 1. 節税シミュレーション比較表
- 9 2. なぜこれほど大きな差が出るのか?(解説)
- 10 ① 累進税率の「高い部分」をカットできる
- 11 ② 孫への贈与は「持ち戻し」の影響を受けにくい
- 12 ③ 贈与税を「あえて少し払う」とさらに加速する
- 13 3. 注意すべきリスク(失敗事例への対策)
1. なぜ「生前贈与」が相続税対策になるのか?
相続税は、亡くなった時の遺産総額に対して課税されます。つまり、「亡くなる前に財産を減らしておくこと」が最大の節税になります。
生前贈与を活用する主なメリットは以下の3点です。
収益源の移転: 収益物件などを贈与すれば、そこから生じる家賃収入(現金)が子や孫に蓄積され、相続財産の膨張を防げる。
課税対象資産の圧縮: 贈与した分だけ、将来の相続財産が物理的に減る。
値上がり益の付け替え: 将来値上がりが予想される資産(株式や不動産など)を早めに贈与することで、値上がり後の価値に対する課税を回避できる。
2. 実践すべき4つの主要な贈与手法
相続税対策として一般的に使われる手法を整理しましょう。
① 暦年贈与(年間110万円の基礎控除)
最もポピュラーな方法です。受贈者(もらう人)1人につき、年間110万円までは贈与税がかかりません。
- ポイント: 子2人、孫4人の計6人に10年間続ければ、110万円 × 6人 × 10年 = 6,600万円を無税で移転できます。
② 相続時精算課税制度
原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与が通算2,500万円まで非課税になる制度です。
- 新ルール: 2024年の改正により、この制度を選んでも年間110万円の基礎控除が使えるようになりました。少額ずつ長期で贈与したい場合も使い勝手が向上しています。
③ 住宅取得等資金の贈与
子や孫が家を建てるための資金を贈与する場合、最大1,000万円(省エネ住宅等の場合)までが非課税になります。
メリット: まとまった資金を一度に、かつ確実に次世代の資産形成に役立てることができます。
3. 【重要】2024年税制改正による「持ち戻し期間」の延長
ここが最も注意すべきポイントです。暦年贈与で渡した財産は、亡くなる直前の一定期間分は「相続財産」として足し戻されて計算されます。
- 改正前: 死亡前3年以内の贈与が持ち戻し対象
- 改正後: 死亡前7年以内の贈与が持ち戻し対象(令和6年1月1日以降の贈与について段階的に移行)
つまり、「亡くなる直前に慌てて贈与しても意味がなくなった」ということです。より早い段階からの計画的な贈与が、これまで以上に重要となっています。
4. 税務署はここを見る!「名義預金」とみなされないための対策
せっかく贈与をしても、税務調査で「それは贈与ではなく、単に名前を借りただけの被相続人の預金(名義預金)だ」と判断されると、すべての節税努力が水の泡になります。以下の4点を必ず守りましょう。
- 贈与契約書を作成する: 「あげた」「もらった」の合意を証拠に残します。
- 受贈者の口座へ振り込む: 現金手渡しではなく、通帳に記録を残します。
- 受贈者が通帳・印鑑を管理する: 通帳を親が預かっている状態は「名義預金」の典型です。
- あえて少しだけ税金を払う: 年間111万円の贈与を行い、数千円の贈与税を申告することで、税務当局に贈与の事実を公式に認めさせるテクニックもあります。
※贈与税の申告=贈与があった、というわけではありません。正式に贈与を行った上であえて贈与税の申告を行うことで、贈与の事実を税務署が把握できるようにするということです。
預金の動きだけでは「贈与」、「貸付」、「借入の返済」などの区別がつかないからです。
5. 失敗しないための戦略:誰に、何を、いつ渡すか
効率的な節税のためには、優先順位が重要です。
相続税と贈与税の税率の比較:あえて贈与税を納める金額の贈与を行った方が後の相続税に有利になるケースが多々あります。仮に300万円を贈与した場合、贈与税は19万円必要になりますが、相続税の税率が20%の場合は相続税が60万円かかります。この場合、贈与税を納付した方が、41万円税金が少なく済みます。
「孫」への贈与が最強: 通常、相続は「親→子」ですが、孫に贈与することで相続を1回スキップできます。また、孫は(代襲相続人でない限り)上記の「7年以内の持ち戻し」ルールの対象外となるケースが多く、非常に有効な出口戦略になります。
収益を生む資産を優先: 現金よりも、配当を生む株式や賃貸不動産を優先しましょう。次世代に「お金を生む仕組み」を渡すことで、相続時の納税資金準備もスムーズになります。
6. まとめ:専門家への相談を惜しまない
生前贈与は、やり方を一歩間違えると「贈与税」という非常に高い税率(最高55%)を課されるリスクを孕んでいます。また、遺産分割での親族間の争い(争続)を招く可能性もあります。
「自分の家の場合、暦年贈与と精算課税のどちらが得か?」「二次相続まで含めたトータルの税金はどうなるか?」を正確にシミュレーションするには、税理士などの専門家の知見が欠かせません。
早めの準備こそが、大切な家族に資産と安心を残す唯一の道です。まずは現在の財産状況を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
遠藤直樹税理士事務所では初回無料相談を行っております。
もし実際に検討する場合は、具体的な財産状況をもとにシミュレーションすることが非常に重要です。
まずはお気軽にご相談ください。
《具体的事例》
生前贈与による節税効果を具体的にイメージしていただくため、「対策を何もしなかった場合」と「10年間の計画的な贈与を行った場合」の比較シミュレーションを作成しました。
今回は、最も一般的で取り組みやすい「暦年贈与(110万円の非課税枠)」を活用した事例です。
【事例設定】
贈与対象: 子2人 + 孫4人(合計6人)
被相続人(財産を持っている人): 父
相続人: 子2人
父の純資産: 2億円(現預金・不動産など)
贈与期間: 10年間
1. 節税シミュレーション比較表
| 項目 | ① 対策を何もしない場合 | ② 10年間の贈与を行った場合 |
| 生前贈与の総額 | 0円 | 6,600万円 (※1) |
| 相続時の課税対象財産 | 2億円 | 1億3,400万円 |
| 基礎控除額 | 4,200万円 (※2) | 4,200万円 |
| 課税される遺産総額 | 1億5,800万円 | 9,200万円 |
| 相続税の総額(概算) | 3,340万円 | 1,440万円 |
| 支払った贈与税の合計 | 0円 | 0円 |
| トータルの税負担 | 3,340万円 | 1,440万円 |
| 【節税効果】 | – | 1,900万円の減税 |
(※2) 基礎控除の計算:3,000万円 + (600万円 × 法定相続人2人) = 4,200万円
(※1) 内訳:110万円 × 6人 × 10年 = 6,600万円
2. なぜこれほど大きな差が出るのか?(解説)
① 累進税率の「高い部分」をカットできる
相続税は財産が多ければ多いほど税率が上がる仕組みです。今回の事例では、2億円の資産のうち「最も高い税率(30%)」が適用されていた部分を贈与で事前に切り離したため、1,900万円という劇的な節税が可能になりました。
② 孫への贈与は「持ち戻し」の影響を受けにくい
2024年の改正で、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されることになりましたが、これは原則として「相続人(この場合は子)」が対象です。孫への贈与は基本的にこの加算ルールの対象外(※遺言で財産を渡す場合などを除く)となるため、亡くなる直前まで効果的な節税が続けられます。
③ 贈与税を「あえて少し払う」とさらに加速する
上記の表は「非課税枠の110万円」に収めたケースですが、例えば1人あたり年間210万円を贈与した場合、贈与税が10万円かかります(税率約4.7%)。
しかし、父の相続税率が30〜40%の層であれば、「4%の贈与税を払って、将来の40%の相続税を消す」という判断の方が、トータルの手残りは圧倒的に増えます。
3. 注意すべきリスク(失敗事例への対策)
この試算を実現するためには、以下の実務的なポイントが不可欠です。
資金の使用収益:
通帳や印鑑を父が管理していると「名義預金」とみなされ、この1,900万円の節税効果はゼロになります。必ず子や孫が自分の意思で使える状態にしておく必要があります。
「定期贈与」とみなされない工夫:
最初から「1,100万円を10年分割で渡す」という契約をすると、1,100万円の一括贈与とみなされるリスクがあります。毎年、その都度贈与契約書を作成することが推奨されます。
執筆者紹介

税理士 遠藤 直樹
遠藤税理士事務所 代表
香川県高松市にて相続税・生前対策専門の税理士事務所を運営。元国税調査官として28年間培った経験を活かし、香川県内で相続税申告や生前の節税対策でお悩みの方を親身にサポートしています。





