2025.12.22

相続税申告は自分でできる?税理士に頼むべきかの判断基準と税務調査のリスク

香川県高松市で相続税申告や生前の節税対策を専門に取り扱っている、税理士の遠藤直樹です。私は国税局・税務署に28年間勤務した経験を持つ、元国税調査官の税理士です。

相続が発生し、相続税の申告が必要となった方から、「税理士に依頼せず、自分で申告書を作成することはできませんか?」「費用を節約したい」というご相談をいただくことがあります。

自分で申告手続きを行うこと(セルフ申告)は、果たして可能なのでしょうか。
この記事では、相続税申告を自分で行う場合の注意点や、税理士に依頼すべきかの判断基準について、元国税調査官の視点も交えて客観的に解説します。

相続税申告はご自身(相続人)でも可能か?

まず、相続税申告を自分で行うことの可否についてご説明します。

申告書の作成・提出自体は可能です

相続税の申告において、「必ず税理士に依頼しなければならない」という法律上の義務はありません。
したがって、相続人様ご自身が税法を調べ、国税庁のウェブサイトから申告書(手引き)を入手し、自分で作成・提出することは「可能」です。

申告期限(10ヶ月)までに多くの手続きが必要です

ただし、申告が可能であることと、それが容易であることは異なります。
相続税申告は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。この限られた期間内に、以下の非常に多くの手続きを自分で行う必要があります。

  • 法定相続人の確定
    亡くなられた方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等をすべて収集し、相続人を確定させます。
  • 相続財産の全容把握
    預貯金、不動産、有価証券、生命保険など、全てのプラスの財産と、借入金などのマイナスの財産をリストアップします。
  • 財産の評価
    全ての財産について、「相続税法上の評価額」を個別に計算します。(これが最も専門的な作業です)
  • 遺産分割協議
    相続人全員で財産の分け方を話し合い、「遺産分割協議書」を作成します。
  • 申告書の作成と納税
    財産評価額に基づき税額を計算し、複雑な相続税申告書を作成・提出し、納税します。

これらをご家族の皆様が、深い悲しみの中、日常の仕事や生活と並行して行う必要があります。

自分で申告書を作成する際に注意すべき3つの専門的領域

自分で申告を行う場合、特に注意が必要なのが「財産の評価」と「特例の適用」です。これらは税額に直接影響を与える、非常に専門的な領域です。

注意点1 相続財産の正確な把握(「家族名義預金」などは含まれるか)

財産をリストアップする際、「これは申告しなくて良いだろう」と自分で判断された財産が、税務上の「申告漏れ」となってしまうケースがあります。

典型的な例が「家族名義預金(名義預金)」です。
例えば、亡くなったご主人が、奥様やお子様名義の預金口座に生前から入金し、その通帳や印鑑をご自身で管理していた場合、名義はご家族のものであっても、税務上は「ご主人の相続財産」として申告する必要があります。
こうした財産の判断を誤ると、意図せずとも過少申告となってしまう可能性があります。

注意点2 最も専門知識が必要な「不動産(土地)」の評価

相続税申告で最も難易度が高く、税理士の専門性が問われるのが「不動産(土地)」の評価です。

相続税の土地評価は、毎年送られてくる「固定資産税評価額」をそのまま使うわけではありません。「路線価方式」や「倍率方式」といった専門的な手法で計算します。
さらに、その土地の形状(不整形地)、接道状況、都市計画など、個別の状況を反映させて評価額を適正に引き下げる(減額する)必要があります。
香川県・高松市内の土地であっても、その評価方法は千差万別です。
もし、この評価方法を誤り、過大に評価してしまえば「必要以上に多くの税金を納付」することになり、逆に過小に評価してしまえば「税務署から申告誤りを指摘される」原因となります。

注意点3「小規模宅地等の特例」などの適用要件の判断

相続税には、ご自宅の土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」をはじめ、税負担を大きく軽減できる特例が多数存在します。

しかし、これらの特例を適用するためには、法律で定められた非常に複雑な要件(同居の有無、事業の継続状況など)をすべて満たしている必要があります
自分での判断で「適用できる」と思って申告しても、税務署の審査で「要件を満たしていない」と判断されれば、特例は否認され、多額の追加納税が発生する可能性があります
逆に、適用できるにもかかわらず、制度を知らなかったために適用せず、本来よりも多くの税金を納めてしまうケースも少なくありません

もし申告内容に誤りがあった場合(税務調査のリスク)

自分で申告書を作成した場合、最も懸念されるのが「申告内容の誤り」です。

申告内容の確認(税務調査)の対象となる可能性

税務署は、提出された申告書の内容を、法務局や金融機関などから得られる様々な情報と照らし合わせて審査しています。
(詳しくは「相続税の税務調査」の記事もご参照ください)
その審査の過程で、

  • 「申告された預金額が、生前の所得状況と比べて少ないのではないか」
  • 「高松市内のこの土地の評価額が、基準に比べて低すぎるのではないか」
  • 適用した特例の要件を満たしているか、確認が必要」

といった疑問点が生じた場合、申告内容の確認(実地調査、いわゆる税務調査)の対象となる可能性が出てきます。

自分で作成された申告書は、やはり専門家が作成したものに比べて、財産評価や特例適用の面で誤りが生じやすい傾向は否めません。

なぜ専門家による「精度の高い申告書」が推奨されるのか

税理士に依頼する最大のメリットは、申告書の「正確性」と「信頼性」が格段に高まることです。

相続税を専門とする税理士は、財産評価や特例適用の法的な根拠を明確にし、なぜその評価額になったのか、なぜこの特例が適用できるのかを、税務署が納得できるよう「書面添付」などの形で申告書に付随させます。

このような「精度の高い申告書」は、税務署側から見ても疑問点が生じにくく、結果として申告内容の確認(税務調査)の対象となる可能性を低減させることにつながります。

税理士への依頼を検討すべきか(香川県)4つの判断基準

「自分でもできそうか」「税理士に任せるべきか」を迷った際は、以下の4つの基準でご判断いただくことをお勧めします。

基準1 遺産に香川県内(高松市など)の不動産が含まれる

財産の中に不動産(特に土地)が1つでもある場合は、税理士への相談を強く推奨します。前述の通り、土地評価は相続税申告の最大の難関であり、専門家でなければ適正な評価は極めて困難です。

基準2 財産の種類が多い、または評価が難しい(例:自社株)

預貯金や上場株式だけでなく、ご自身で経営されていた会社の株式(非上場株式)がある、ゴルフ会員権がある、骨董品や美術品があるなど、財産の種類が多岐にわたる場合も、自分での評価は困難です。

基準3 お仕事などで申告準備の時間を確保するのが難しい

相続税申告は、10ヶ月という期限内に、膨大な資料収集と複雑な計算を行わなければなりません。相続人様が平日お仕事をされている場合、その傍らで申告準備を進めるのは、心身ともに非常に大きな負担となります。

基準4 申告内容が適正かどうか、ご自身での判断がご不安な方

「これで本当に合っているだろうか」「後から税務署に何か言われないだろうか」
申告書を提出した後も、このような不安を抱え続けることは、精神衛生上良いことではありません。「専門家に任せて、正確な申告を期限内に確実に完了させる」という「安心」も、税理士に依頼する大きな価値です。

相続税申告は「正確な財産評価」が全ての基本です

自分での申告は、税理士費用を節約できるというメリットがあります。
しかし、その結果として財産評価を誤り、税金を納め過ぎてしまったり、逆に少なく申告してしまい将来の税務調査で追徴課税(加算税など)のリスクを負ったりしては、本末転倒です。

元国税調査官としてアドバイスできること

相続税申告の基本は、全ての財産を「漏れなく」「正確に」評価することに尽きます。税務署が確認したいのは「意図的な財産隠し」だけでなく、「単純な評価の誤り」や「特例適用のミス」も含まれるということです。

正確な申告書を作成し、合法的な範囲(特例の適用など)で納税額を適正化することこそが、最終的にご家族の皆様の財産と安心を守る最善の方法です。

「相続税申告を自分で」まとめ

  • 相続税申告を自分で行うことは「可能」ですが、専門的な知識が必要です
    10ヶ月の期限内に、相続人の確定、財産把握、複雑な評価、申告書作成を全て行う必要があります。
  • 最大の難関は「不動産(土地)の評価」と「特例の適用判断」です
    自分での判断が、税金の納め過ぎや、逆に過少申告のリスクに直結します。
  • 申告内容の誤りは、税務調査の対象となる可能性があります
    専門家による「精度の高い申告書」は、将来の不安を減らすことにも繋がります。
  • 香川県内で不動産をお持ちの方、自分での判断が不安な方は専門家への相談をご検討ください
    正確な申告こそが、ご家族の財産を守る最善策です。

相続税申告は、人生で何度も経験することではありません。だからこそ、どう進めるべきか迷われるのは当然のことです。

香川県・高松市で、「自分で申告すべきか、税理士に頼むべきか」とお悩みの方は、ぜひ一度、遠藤直樹税理士事務所の無料相談をご利用ください。お客様の財産状況を客観的に拝見し、元国税調査官の視点から最適な方法をアドバイスいたします。

執筆者紹介

代表

税理士 遠藤 直樹

遠藤税理士事務所 代表

香川県高松市にて相続税・生前対策専門の税理士事務所を運営。元国税調査官として28年間培った経験を活かし、香川県内で相続税申告や生前の節税対策でお悩みの方を親身にサポートしています。

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