暦年贈与の7年ルール改正とは?香川県で今すぐ始めるべき生前対策を解説

香川県高松市で相続税申告や生前の節税対策を専門に取り扱っている、税理士の遠藤直樹です。私は国税局・税務署に28年間勤務した経験を持つ、元国税調査官の税理士です。
相続税対策の方法として、多くの方が活用されてきたのが「暦年贈与(れきねんぞうよ)」です。年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからないという仕組みを利用し、将来の相続財産を減らすことを目的としています。
しかし近年、この暦年贈与に関する重要な税制改正が行われました。それが、相続開始前の贈与を相続財産に加算する期間(持ち戻し期間)が、従来の3年から7年に延長された、いわゆる「7年ルール」の導入です。
「今までの贈与が無駄になってしまうの?」
「これからの生前対策はどうすればいい?」
このような疑問をお持ちの香川県・高松市の皆様に向けて、この記事では暦年贈与の「7年ルール」改正のポイントと、今後の相続対策への影響について分かりやすく解説します。
目次
相続税対策の定番「暦年贈与」とは?(おさらい)
まず、今回の改正内容をご理解いただくために、従来の暦年贈与の仕組みを簡単におさらいしましょう。
年間110万円までの贈与が非課税になる仕組み
暦年贈与とは、贈与税の計算方法の一つです。
贈与を受けた人(もらった人)一人あたり、その年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税がかからず、申告も不要という制度です。(基礎控除が110万円)
なぜ相続税対策として活用されてきたのか
この年間110万円の非課税枠を利用することで、将来相続財産となるであろう財産を、生きているうちに非課税で次の世代(子供や孫など)に移転させることができます。
例えば、お子様2人に毎年110万円ずつ10年間贈与すれば、合計2,200万円の財産を非課税で移すことができ、その分だけ将来の相続財産を圧縮し、相続税の負担を軽減する効果が期待できるため、多くの方が相続税対策として活用してきました。
【重要改正】暦年贈与の「7年ルール」とは?
しかし、令和5年度(2023年度)の税制改正により、この暦年贈与の相続税計算における扱いに大きな変更がありました。
相続財産への「持ち戻し(加算)」期間が3年から7年に延長
従来は、相続開始前「3年以内」に暦年贈与によって受け取った財産は、相続財産に加算(持ち戻し)して相続税を計算するというルールがありました。つまり、亡くなる直前3年間の贈与は、相続税対策としての効果がなかったのです。
今回の改正により、この持ち戻し期間が「3年」から「7年」に延長されました。
これにより、相続開始前7年以内に行われた暦年贈与については、原則として相続財産に加算して相続税を計算する必要が生じます。
いつからの贈与が対象になるのか?
この「7年ルール」は、令和6年(2024年)1月1日以降に行われる贈与から適用されます。
したがって、例えば令和10年(2028年)に相続が発生した場合、持ち戻しの対象となるのは、令和6年1月1日以降の贈与である、令和6年、7年、8年、9年、10年の5年間の贈与となります。
持ち戻し期間が完全に7年間となるのは、令和13年(2031年)1月1日以降に相続が発生した場合からです。
令和5年(2023年)12月31日までに行われた贈与については、これまで通り相続開始前3年以内のものだけが持ち戻しの対象となります。
延長された4年間の贈与には「100万円控除」がある
少し複雑ですが、延長された期間(相続開始前3年超~7年以内)の贈与については、合計額から「100万円」を控除した後の金額が、相続財産への加算対象となります。
例えば、相続開始前5年前に110万円、4年前に110万円の暦年贈与を受けていた場合(合計220万円)、この期間の贈与については220万円から100万円を差し引いた120万円が相続財産に加算されることになります。
この改正は香川県・高松市の相続対策にどう影響する?
持ち戻し期間が7年に延長されたことで、今後の相続対策にはどのような影響があるのでしょうか。
「駆け込み贈与」の効果は限定的に
これまで、「相続が近いかもしれない」と感じてから慌てて暦年贈与を始める、いわゆる「駆け込み贈与」を行うケースも見られました。
しかし、持ち戻し期間が7年になったことで、亡くなる直前の贈与は相続税対策としての効果がほとんど期待できなくなりました。
より「早期」かつ「計画的」な対策の重要性が増しています
今回の改正は、言い換えれば「相続税対策としての生前贈与は、より早くから、計画的に始めないと効果が出にくくなる」というメッセージとも受け取れます。
将来の相続税負担を軽減するためには、ご自身が元気なうちから、できるだけ早い段階で相続税対策に着手し、長期的な視点で財産の移転計画を立てることが、これまで以上に重要になってきます。
改正後の「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」どちらを選ぶべき?

今回の税制改正では、暦年贈与の持ち戻し期間延長と同時に、「相続時精算課税制度」にも年間110万円の基礎控除が創設されるという見直しが行われました。
それぞれの制度のメリット・デメリットを再整理
改正後の両制度を比較すると、以下のようになります。
- 暦年贈与
- メリット:年間110万円以下なら贈与税申告不要(手軽さ)。受贈者(もらう人)の制限がない。
- デメリット:相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算される。
- 相続時精算課税制度
- メリット:新たに年間110万円の基礎控除が創設され、この範囲内なら贈与税申告不要(※)かつ相続財産への加算も不要。累計2,500万円までの特別控除枠がある。将来値上がりする可能性のある財産(株式など)の贈与に有利な場合がある。
- デメリット:贈与者(あげる人)・受贈者(もらう人)に年齢等の要件がある。一度選択すると暦年贈与に戻れない。
(※初年度のみ相続時精算課税選択届出書の提出が必要です)
一概にどちらが良いとは言えない、専門家との相談が重要
「結局、どちらの制度を使えばいいの?」と迷われるかと思いますが、一概にどちらが有利とは言えません。
- 贈与したい相手は誰か(子・孫か、それ以外か)
- 贈与したい財産の種類は何か(現金か、不動産か、株式か)
- どのくらいの期間をかけて贈与を行いたいか
- 現在のご自身の年齢や健康状態
など、個別の状況によって最適な選択は異なります。
また、一度相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないという重要な注意点もあります。
安易にご自身で判断せず、相続税に詳しい税理士に相談し、ご自身の状況に合った制度選択や組み合わせについて、シミュレーションを交えながら検討することが不可欠です。
今、香川県・高松市で始めるべき生前対策とは
今回の税制改正を受けて、「何か対策を始めなければ」と感じられた方もいらっしゃるでしょう。
まずは現状の財産把握と相続税試算から
生前対策の第一歩は、「現状を知る」ことです。
ご自身が現在どのような財産をどれくらいお持ちで、もし今相続が発生した場合、相続税がいくらかかるのか(または、かからないのか)を把握することがスタート地点となります。
特に香川県内の不動産は、評価額が分かりにくい場合も多いので、専門家による正確な評価と試算が重要です。
ご自身の状況に合った対策プランを検討する
相続税の試算結果を踏まえ、ご自身の希望(誰に財産を残したいかなど)やご家族の状況に合わせて、具体的な対策プランを検討します。
暦年贈与や相続時精算課税制度の活用だけでなく、生命保険の非課税枠の利用、不動産の活用(賃貸経営など)、遺言書の作成など、様々な選択肢の中から最適な組み合わせを考える必要があります。
「暦年贈与の7年ルール改正」まとめ
- 令和6年1月1日以降の暦年贈与は、相続開始前7年以内のものが相続財産に加算されます
ただし、3年超7年以内の贈与には合計100万円の控除があります。 - 「駆け込み贈与」の節税効果は限定的になり、より早期からの計画的な対策が重要に
生前贈与は、時間をかけて行うことで効果を発揮します。 - 改正後の「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の選択は慎重な判断が必要
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合わせて検討しましょう。 - まずは現状把握(相続税試算)から。専門家への相談が最適な対策への近道です
香川県・高松市の状況に合わせた具体的なプランをご提案します。
税制改正は複雑で分かりにくい点も多いかと思いますが、ご自身の財産とご家族の将来に関わる重要な変更です。
香川県・高松市で、「今回の改正で自分の場合はどうなるのか」「今からどんな対策をすれば良いのか」など、具体的なご相談をご希望の方は、ぜひ一度、遠藤直樹税理士事務所の無料相談をご利用ください。最新の税制に基づき、分かりやすくご説明いたします。
執筆者紹介

税理士 遠藤 直樹
遠藤税理士事務所 代表
香川県高松市にて相続税・生前対策専門の税理士事務所を運営。元国税調査官として28年間培った経験を活かし、香川県内で相続税申告や生前の節税対策でお悩みの方を親身にサポートしています。



