良かれと思って…は危険!香川の元国税調査官が指摘する間違った相続税対策

香川県高松市で相続税申告や生前の節税対策を専門に取り扱っている、税理士の遠藤直樹です。私は国税局・税務署に28年間勤務した経験を持つ、元国税調査官の税理士です。
将来の相続に備え、少しでもご家族の負担を減らしたいと考え、ご自身で相続税対策に取り組まれている方もいらっしゃるかと思います。そのお気持ちは非常に大切です。
しかし、相続税や贈与税のルールは複雑であり、「良かれと思って」行った対策が、税務上は意図した効果を発揮しない、あるいは問題と判断されてしまうケースも残念ながら存在します。
この記事では、特に香川県・高松市でも見受けられることのある、注意が必要な相続税対策の「誤解されやすいポイント」を3つ取り上げ、なぜ注意が必要なのか、その理由を客観的に解説します。
目次
相続税対策、その方法、本当に合っていますか?
相続税対策を考える上で最も重要なのは、法律で認められた正しい知識に基づいて行うことです。
節税を考える気持ちは大切、しかし正しい知識が不可欠
ご自身の財産をご家族に円満に残したい、税金の負担はできるだけ軽くしたい、そう考えるのは当然のことです。そして、法律の範囲内で認められている節税策を適切に活用することは、何ら問題ありません。
しかし、税法の解釈や適用を誤ると、期待した節税効果が得られないばかりか、後日、税務署から申告内容について確認を求められ、追加の納税(加算税など)が必要になる可能性もあります。
香川県・高松市でよく見られる、注意が必要な対策とは
相続のご相談をお受けする中で、香川県・高松市にお住まいの方からも「こんな対策をしているのだけれど、大丈夫だろうか?」というお話を伺うことがあります。その中には、税務上のリスクを伴う可能性のある方法も含まれています。
【要注意】よくある「間違った相続税対策」3つのケース

ここでは、特に注意が必要な代表的なケースを3つご紹介します。
ケース1「家族名義預金」の作成(税務署に贈与と認められない可能性)
最もよく見られる誤解の一つが、「子供や孫の名義で預金口座を作り、そこにお金を入れておけば、自分の財産ではなくなる(=相続税がかからない)」という考え方です。
確かに、口座の名義人はお子様やお孫様かもしれません。しかし、その口座の開設手続きを誰が行い、入金したお金の出所はどこで、通帳や印鑑を誰が管理しているのか、といった実質的な側面が税務上は重要になります。
例えば、
- 親が子どものために口座を開設し、親自身がお金を振り込み、
- 通帳や印鑑も親が管理し、子どもはその口座の存在すら知らない(または自由に使えない)
という場合、その預金は名義こそ子どもであっても、実質的には「親の財産(=相続財産)」と判断される可能性が極めて高いのです。これを一般的に「名義預金」と呼びます。
相続税の申告からこの名義預金を除外していると、税務署から申告漏れを指摘される主な原因となります。
ケース2形式だけの「贈与契約書」(実態が伴わない贈与)
生前贈与を行う際に、「贈与契約書」を作成することは、贈与があったことの証拠として非常に重要です。しかし、契約書さえ作れば良いというものではありません。
例えば、贈与契約書を作成したものの、
- 実際にはお金の移動が行われていない(口座にお金が振り込まれていない)
- お金は移動したが、その通帳や印鑑は依然として贈与者(あげた人)が管理しており、受贈者(もらった人)が自由に使えない
といった場合、形式的に契約書があっても、実質的な贈与(財産の支配権の移転)が行われたとは認められない可能性があります。
贈与が成立するためには、「契約」と「履行(実際に財産が移り、もらった人が自由に管理・処分できる状態になること)」の両方が伴っている必要があります。
ケース3相続開始直前の「駆け込み対策」(持ち戻しルールの影響)
「相続が近いかもしれないから、今のうちに財産を減らしておこう」と、亡くなる直前に慌てて預金を引き出して現金化したり、家族に贈与したりするケースがあります。
しかし、まず、亡くなった日時点の手許現金(タンス預金など)も当然、相続財産として申告が必要です。
また、生前贈与についても、相続開始前一定期間内(令和6年1月1日以降の贈与は最大7年間)に行われた暦年贈与は、原則として相続財産に加算して相続税を計算する「持ち戻し」というルールがあります。
したがって、相続開始直前の駆け込み的な対策は、相続税を減らす効果が限定的であるばかりか、かえって税務署に不自然な資金移動として注目される可能性もあります。
なぜこれらの対策が「間違い」と判断される可能性があるのか
これらの対策が税務上問題となる可能性があるのは、税務署が相続税の申告内容を確認する際に、単なる形式だけでなく「実質」を重視して判断するためです。
税務署が確認するポイント(形式だけでなく実質で判断)
税務署は、亡くなられた方の過去の所得状況など様々な情報を把握しています。
その上で、提出された相続税申告書の内容と照合し、不自然な点や疑問点がないかを確認します。
- 名義預金であれば、「なぜその名義になっているのか」「実質的な所有者は誰か」
- 贈与であれば、「本当に財産の支配権が移転しているか」
- 相続開始直前の資金移動であれば、「その目的や使途は何か」
といった点を、客観的な証拠に基づいて実質的に判断しようとします。当事者が「贈与のつもりだった」「これは子どもの固有の財産だ」と主張しても、それを裏付ける客観的な事実(契約書、資金の管理状況など)が伴っていなければ、税務署の判断を覆すのは難しい場合があります。
申告漏れと判断された場合のリスク(加算税など)
もし、これらの対策が税務署に否認され、申告漏れと判断された場合、本来納めるべきだった相続税に加えて、ペナルティとして過少申告加算税や延滞税といった附帯税が課されることになります。
意図的な財産隠しとみなされるような悪質なケースでは、さらに重い重加算税(最大35%)が課される可能性もあります。
良かれと思って行った対策が、かえってご家族に余計な税負担と心配をかけてしまう結果になりかねません。
正しい相続税対策を行うための第一歩
では、将来の相続に備えて、どのように対策を進めれば良いのでしょうか。
まずは現状の財産把握と相続税試算から
何よりもまず、ご自身が現在どのような財産をどれくらい保有しているのかを正確に把握することがスタートです。その上で、もし現時点で相続が発生した場合、相続税がいくらくらいかかるのか(または、かからないのか)を試算してみましょう。
現状を正しく認識することで、初めて具体的な対策の必要性や方向性が見えてきます。
専門家(税理士)に相談するメリット
相続税のルールや評価方法は非常に複雑で、税制改正も頻繁に行われます。ご自身だけで判断せず、相続税に詳しい税理士に相談することをお勧めします。
税理士に相談することで、
- 現状の財産状況に基づいた正確な相続税の試算ができる
- 最新の税法に基づいた、法的に認められる正しい節税策を知ることができる
- ご自身の状況(財産内容、家族構成、希望など)に合った最適な対策プランを提案してもらえる
- 税務署に指摘されるリスクの少ない、適切な手続き(贈与契約書の作成など)のサポートを受けられる
といったメリットがあります。
香川県・高松市で適切な相続税対策をお考えの方へ
相続税対策は、正しい知識に基づいて、計画的に行うことが何よりも重要です。
元国税調査官としての経験からお伝えできること
国税調査官として多くの相続案件に関わってきた経験から言えるのは、税務署は決して意地悪で指摘をしているわけではなく、法律と客観的な事実に照らして、公平・適正な課税を実現しようとしている、ということです。
だからこそ、申告する側も、法律に基づいた正しい方法で、客観的な証拠を揃えて対策を行うことが、将来の不安をなくす最善の方法なのです。
当事務所では、相続税申告・生前対策を専門とする税理士として、また元国税調査官としての経験も踏まえ、お客様にとって法的に安全かつ効果的な相続税対策をご提案いたします。
「間違った相続税対策」まとめ
- 「良かれと思って」の対策が、税務上は認められないケースがあります
特に「家族名義預金」や「実態の伴わない贈与」には注意が必要です。 - 税務署は形式だけでなく「実質」で判断します
客観的な証拠(契約書、財産の管理状況など)が重要になります。 - 間違った対策は、将来の追徴課税(加算税など)のリスクに繋がります
正しい知識に基づいた計画的な対策が不可欠です。 - 適切な対策のためには、まず現状把握(相続税試算)と専門家への相談が有効です
香川県・高松市の状況に合わせたアドバイスをいたします。
ご自身で行っている相続税対策に少しでも不安を感じたら、あるいはこれから対策を始めたいけれど何から手をつければ良いか分からないという方は、どうぞお気軽にご相談ください。
香川県・高松市で正しい相続税対策をお考えの方は、ぜひ一度、遠藤直樹税理士事務所の無料相談をご利用ください。皆様の疑問や不安に、丁寧にお答えいたします。
執筆者紹介

税理士 遠藤 直樹
遠藤税理士事務所 代表
香川県高松市にて相続税・生前対策専門の税理士事務所を運営。元国税調査官として28年間培った経験を活かし、香川県内で相続税申告や生前の節税対策でお悩みの方を親身にサポートしています。




